サブマリンに続いて2冊連続の伊坂幸太郎。
読み始めてからしばらくして感じたのは、軽い感じのタイトルに騙された…という気持ち。前知識も全くなく、別に何か想像しながら読み始めたわけじゃないけど、これは今までにない感じの作品になっていると思った。
強いて言えば魔王とかモダンタイムス寄りなのかと感じたけど、やっぱりどの作品にも似てない。まず主人公がいないのが珍しい。感情移入できるキャラクターがいない。ストーリー的に盛り上がる展開のところでも落ち着いて読めてしまう。
「正義」と「偽善」がメインテーマにあって、絶対的な悪というよりも人間誰しもが持つ小さな悪とか、集団になった時にその悪が積み上がる感じとか、これだけ読後感がすっきりしない作品は珍しいとさえ思った。
作者の書きたいものがこの中にあったのだろうな、とはすごく感じる。愉快爽快なものが読みたい伊坂ファンには受け入れられないないだろうな。。