真鍮のブックエンド
机の上に常に何冊か立て掛けてある小説や参考書や雑誌を、そこにある何かで今までおさえてきたけど、やっとブックエンドを使うことにした。 FUTAGAMIの「駒形」。シンプルな造形に砂の鋳型によってつけられた独特のざらざらとした質感。本に接する面…
存在しない女たち / キャロライン・クリアド=ペレス
この世界がどれだけ男性のために設計されているのかという事実を、ファクトをもって一つずつ丁寧に暴いていく一冊。イギリスを中心にしていますが、日本を含めた世界中の実例をデータとともに取り上げています。 以下、自分の備忘録としての引用まとめ。 男…
わかりやすさの罪 / 武田砂鉄
フリーライター武田砂鉄さんの新著。タイトルに習うかのように、理解のしやすさよりもとにかく思いつくままに書き進めていった印象。 何について書かれた本なのかはとてもわかりやすい。わかりやすいってそんなに良いものか?いやむしろ、わかりにくさの中に…
82年生まれ、キム・ジヨン / チョ・ナムジュ
映画化されたこともあって、今かなり話題になっている小説。「82年生まれ、キム・ジヨン」という固有の人物の話しではあるのだけど、世界中すべての女性についての話しでもある。要所要所で統計データが挟まれていて、小説の体をとったノンフィクションのよ…
メイドの手帖 / ステファニー・ランド
出産してすぐホームレスになってしまった女性が、綱渡りのような日々を生きていく様子を書き綴った手記。 この本の舞台は米国だけど、機能していないセーフティーネットにすがりながら、肉体も精神もぎりぎりの状態になりながら、最低賃金で必死に働く様子が…
SFだった世界になる今
「SFがプロトタイプする未来」というキャッチコピーのWIRED最新号を読んだ。オルダス・ハクスリーのBRAVE NEW WORLD(すばらしい新世界)をテーマに、SFの中の世界が現実に滲み出てきていることを感じながら読むと面白い一冊。 読み…
オーデュボンの鳥『アメリカの鳥類』セレクション / ジョン・ジェームズ・オーデュボン
ジョン・ジェームズ・オーデュボン、アメリカの鳥類研究家で画家。北米に生存する野鳥を全て描くという、途方も無い思いが形になったのが1827年から刊行された「アメリカの鳥類」でした。72✗100cmという巨大な版に実物大の野鳥が生き生きと描かれ…
カササギ殺人事件 / アンソニー・ホロヴィッツ
久々に読んだ、自分が考える王道ミステリー。と思って読み進めていたら、とんでもない勘違いでした。 アガサ・クリスティに代表される古きよきクラシックなミステリー、と思って読み進めていくのですが、、急な展開に普通に驚いた。そして、そこからの流れも…
夏がとまらない、がとまらない夏
以前からTwitterでフォローはしていて、アップされる1ページ漫画に尋常じゃない面白さを感じていた、藤岡拓太郎さん初めての単行本。 基本的には、頭のおかしいキャラクター(大体おっさん)が気持ち悪い言動繰り広げる、といった内容です。 控えめ…
蜜蜂と遠雷 / 恩田陸
すでにうっすらと大御所感すら漂っている印象すらある恩田陸さん、この度、第156回直木三十五賞を受賞したそうでおめでとうございます。それこそ10代の頃から読んでいる一読者として感慨深い。 その直木賞を受賞した作品が、このたまたま読み進めていた…
テロ / フェルディナント・フォン・シーラッハ
戯曲の体裁をとった、「犯罪」のフェルディナント・フォン・シーラッハの新作小説。 2013年7月26日、ドイツ上空で旅客機がハイジャックされた。テロリストがサッカースタジアムに旅客機を墜落させ、7万人の観客を殺害しようと目論んだのだ。しかし緊…
コールド・スナップ / トム・ジョーンズ
トム・ジョーンズ自体初めて読むのに、ずいぶんトリッキーな本から始めてしまった。 と言うのも、翻訳を担当したのがあの舞城王太郎(しかも初翻訳)だと。トム・ジョーンズの作品なのか舞城王太郎の作品なのか区別がつきません。ハイトーンなドライブ感がや…
ウインドアイ / ブライアン・エヴンソン
前作「遁走状態」に続き、ブライアン・エヴンソンと柴田元幸という安定感たっぷりのコンビによる短篇集。 同じ短篇集ということで「遁走状態」から引き継いでいるもののは多いものの、より寓話性が増したように思う。恐怖とか怖ろしさのテイストが薄まって、…
ハリー・オーガスト、15回目の人生 / クレア・ノース
死んでも記憶を残したまま生まれ変わる特異な体質の持ち主ハリー・オーガストの数奇な物語。生まれ変わると言っても、死んだその瞬間から新たに誕生する訳ではなく、生まれた時代に戻って同じ人生をやり直すといういわゆるループ(リプレイ)もの。 タイトル…
服従 / ミシェル・ウエルベック
本屋で見かけて装幀の佇まいになにか惹かれるものを感じ、初めてみる作者だったけど読んでみることに。(毎度毎度のことだけど、図書館で借りてきた本なのがね…) 遠くない未来2022年のフランスでイスラム政権が誕生する、というのが限りなく短くしたあ…
火星に住むつもりかい? / 伊坂幸太郎
サブマリンに続いて2冊連続の伊坂幸太郎。 読み始めてからしばらくして感じたのは、軽い感じのタイトルに騙された…という気持ち。前知識も全くなく、別に何か想像しながら読み始めたわけじゃないけど、これは今までにない感じの作品になっていると思った。…
サブマリン / 伊坂幸太郎
家庭裁判所の調査官を主人公にしたチルドレンの続編、サブマリンを読んだ。 かなりアクの強い上司の陣内が異彩を放ってるこのシリーズ。個性的なキャラクターが多く登場する伊坂作品の中でも、陣内は特にキャラが濃い。 ファンタジー要素はなく、劇的な展開…
火花 / 又吉直樹
第153回芥川賞受賞作品の「火花」をやっと読んだ。 読み始めてすぐに、これはまずい、と思った。すごく堅苦しい言い回しで文学然とした気取った文章が鼻についたから。でも読み進めていくうちに少しずつ冒頭で感じた違和感は薄まっていき、気付いたら話に…
消滅 / 恩田陸
ブラック・ベルベット以来1年弱ぶりくらいに読んだ恩田陸。 それぞれの渡航先から帰国した性別も年齢もバラバラの11人。なぜか入国審査で止められ別室へ連れて行かれ、この中にテロリストがいるという理由で軟禁され、挙句には台風で空港が封鎖されてしま…
学力の経済学 / 中室牧子
人並みに子供の教育について考えたりもするもので、巷で話題になっているらしいと気になってたので読んでみた。以下、備忘録的にざっくりかいつまんで要約。 教育経済学に基づく、より費用対効果の高い教育とは 東大生の親の平均年収は約1000万円 文部…