戯曲の体裁をとった、「犯罪」のフェルディナント・フォン・シーラッハの新作小説。

2013年7月26日、ドイツ上空で旅客機がハイジャックされた。テロリストがサッカースタジアムに旅客機を墜落させ、7万人の観客を殺害しようと目論んだのだ。しかし緊急発進した空軍少佐が独断で旅客機を撃墜する。
乗客164人を殺して7万人を救った彼は英雄か? 犯罪者か?
結論は一般人が審議に参加する参審裁判所に委ねられた。検察官の論告、弁護人の最終弁論ののちに、有罪と無罪、ふたとおりの判決が用意された衝撃の法廷劇。

というような内容なんだけど、
期待してたような盛り上がりを自分の中に感じなかった。
全編通して法廷が舞台になっていて、淡々と審理が進行していく。911以降の世界のあり方について読者に対して宿題的な感じで丸投げなのがな…。よくあるトロッコ問題とかを例に、感情と理性の間で揺れながら考えてみましょう!って、この人の書く小説で読みたかった内容じゃなかったな。

弁護士でもある著者だから、法廷描写はさすがにリアルだなと感じたけども。

あとがきにあった著者のスピーチ内容には、正直ひきました。内容で行ったらこっちのほうがインパクトがある。
本国ドイツのamazonを覗いてみると、すごい高評価。

テロ / フェルディナント・フォン・シーラッハ