最後の原美術館

老朽化を理由に2021年の1月に閉館することが決まっている原美術館。なくなってしまう前にもう一度見ておきたい思いが募ったので、行ってきた。

館内に入って受付を通ると思い出した、こんなだった。どうやら以前に二度来たことがあるっぽいのだけど、ジム・ランビーの「アンノウン プレジャーズ」を観たことしか思い出せない…。そのジム・ランビーも2008年に開催されたもので、そりゃ思い出せなくなるわと納得するほど昔なのでした。その時にはなかった鈴木康広さんの作品が増えてたり。

もともと個人邸宅だったこの美術館は、その空間と一体になった展示作品がすごく魅力的なのだと改めて思った。特に常設の展示は、建物のユニークな構造や意匠の中に溶け込むように作品が存在していて、とても個性的。無機質なホワイトキューブとは対極の方向性が心地いいんだよなぁ。ジム・ランビーの作品もこれでもかってくらいに建物を使い切っていて、それはもう圧倒的だった記憶がいまだにある、おぼろげに…。

今回の光をテーマにした写真やビデオ作品もよかったのだけど、今日目にしたもので一番気になったのは、ふと展示室から窓の外に目をやった時に気づいた杉本博司の作品?だった。空調の室外機を隠すために、安価なほうきをたくさん並べて作られて垣根なのだけど…侘びとか寂びとかそんな洒落たものでもない素っ気ない佇まいが粋だった。背の高かったであろうほうきが長年風雨にさらされて穂先がなくなり、もはや室外機がほんのり見えてしまっているのも含めて、在るのがいいと思った。

中庭を含めた館内が撮影禁止なので、後から振り返ってみてなんとなく美術館の佇まいが思い出せるようなところを探して撮ってみたけど、どうだろう。

あ、あと原美術館といえばFlash全盛の頃に、それはそれはかっこいいサイトとして有名でした。古いWeb関係者しかわからない話。