フリーライター武田砂鉄さんの新著。タイトルに習うかのように、理解のしやすさよりもとにかく思いつくままに書き進めていった印象。

何について書かれた本なのかはとてもわかりやすい。わかりやすいってそんなに良いものか?いやむしろ、わかりにくさの中にこそ思考をドライブする大事なものが含まれている、という事。安易に答えを求めるなよ、カオスでいいじゃないか。あと、安易な答えを求める問いを立てることにももっと懐疑的でありたい。

いくつか気になった文章を抜粋。

あらゆる場面において「要するに何が言いたいの?」に答える必要なんてない。「要するに」って、必ずしもコチラの仕事ではなく、オマエの仕事でもある。なぜ、いつもコチラがかいつまんで伝える必要があるのか。

仰るとおり。コチラもアチラもそんなに「要する」必要はない。

人の心をそう簡単に理解してはいけない。そのまま放置することを覚えなければいけない。理解できないことが点在している状態に、寛容にならなければいけない。あまりに理解が混雑している。説明不足をひとまず受け流さなければいけない。知りたければ問えばいい。話の帰結のために言葉を簡単に用意しない。言葉は、そこから始めるためにある。終着を出発に切り替える作業は、理解を急がないことによって導かれるはずである。

理解することを迫られる現代の人たち。本当に見に覚えがありすぎて、意識を変えるために常に問うていきたい。理解できないことが点在している状態を是として受け入れるということは、昨今言われる多様性を考える上でもまさにぴったり過ぎる姿勢だと思う。理解しようとする努力は必要だが、理解できないことも否定しないのが自然なのでは。

と、わかったような考えに至るのも安易なのかな。